2026年6月29日
既に採掘が終了している幻の石【柿木石】の加工をしております。
お墓づくりや石造文化財の世界には、その土地ならではの「銘石」が存在します。香川県の庵治石や茨城県の稲田石、神奈川県の本小松石などは広く知られていますが、実は静岡県伊豆半島にも、かつて高い評価を受けた石材がありました。それが「柿木石(かきぎいし)」です。
柿木石は、現在の伊豆市にある達磨山の東斜面で採掘されていた安山岩の一種で、「伊豆小松石」とも呼ばれていました。その名の通り、神奈川県真鶴産の本小松石によく似た風合いを持ちながら、伊豆半島の火山活動によって生まれた独自の石材です。

実際に柿木石は、寺院の石碑や銘板、公共施設の景観材などに使われてきました。記録によれば、小田原城の修復工事や横浜のみなとみらい地区の日本丸ドック周辺にも使用されたとされています。伊豆で採れた石が、県外の歴史的建造物や都市景観を支えていたことは、あまり知られていない事実ではないでしょうか。

私たちが普段目にする石碑や石垣の中には、こうした地域の歴史や産業を物語る石が使われています。柿木石もまた、伊豆半島の自然と人々の営みが生み出した貴重な地域資源のひとつです。
もし伊豆の古い墓石や記念碑を見かけたら、ぜひその石にも注目してみてください。もしかするとそこには、今は採れなくなった「柿木石」が使われているかもしれません。石は単なる材料ではなく、その土地の歴史や文化を今に伝える語り部でもあるのです。
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